「Change-Making Communities™ が世界に次々と生まれていくこと」
直訳すると 「変化を生み出すコミュニティ」。
なぜ Change-Making Communities なのか?
それは、システムレベルの複雑な問題(システミック・チャレンジ)に挑みながら世界をよくしてために、Change-Making Communities が一番レジリエントな(しなやかな回復力のある)アプローチだと考えるからです。
世界から様々な社会問題を完全になくすことはできない。しかも、システミック・チャレンジに取り組む場合には、難しさが恐ろしく増します。
システミック・チャレンジでは、問題の要因や結果は複雑で複数で互いに影響しあい、多様で多数の関係者がおり、何かのアクション/ノンアクションからその影響が表出するまでにはタイムラグがよくあり、それにも関わらず、焦ったり必要に迫られて対処療法を優先し、根本的な解決から遠ざかってしまうこともしばしば。(Peter Sengeら、2015年 *1)
こういう時には、最初に決めた解決法をただ実行するのでは、太刀打ちできなくて、解決法はやりながら見出していくもの(emergent)。そして、チェンジメーカーを多数輩出するだけでは不十分。そこに集まる人々、コミュニティが、変化を生み出していくキャパシティをもたなければ、と思うのです。
というわけで、WITのビジョンは、「Change-Making Communities™ が世界に次々と生まれていくこと」
それは、
チャレンジに直面したときに、自ら変化をしなやかに力強く起こしていける、
レジリエントなコミュニティが、アメーバのように増殖していく世界。
起こしたい変化のために、それぞれが価値を持ち寄れる世界。
変化の起こし手と変化の受け手が、一方向的に決まらない世界。
実際に Change-Making Communities が生まれるには、すでに自分にある可能性を見つけて育てたり、外にある可能性をとりいれることが大切だと考えます。
例えば、Tohokuという一つの場所に広がっている世界の可能性を探求し、同時に、Tohokuとそれ以外の世界がやり取りをしていくこと。
このビジョンが、WITの名前にも込められていて、通常は、「Tohoku in the world(世界の中の東北)」のような表現をしますが、あえて「World in Tohoku(東北の中にある世界)」と順番を逆転させています。
Change-Making Communities とシステムリーダー
皆が、変化を生み出すことにパッションをもって、かかわれるようになるなんて、言うは易し。戸惑いや怖さを感じる人もいると思います。
そんな中、Change-Making Communities が生まれるには、これを誘発できる人が複数必要です。
つまり、Peter Sengeらの言う、システムリーダー(*2)、複数の人々の集合的な学びあいや変化への歩みを引き出せる人、が必要なのです。
WITでは、こういう意味で、「社会起業家/団体」「グローバルシチズン」という言葉を使っています。
WITが協働・支援させていただいている社会起業家は、
困っている人や問題に、ただ支援の手を差し伸べるのではなくて、
いかに社会のリソースや人々、ステークホルダーをenable(その人が何かをできる状態にすること)し得るか、受益者をenableし得るか、という点をWITとして重視しています。
グローバルシチズンは、地域やセクターの違いをこえて、世界で起きていることに当事者性をもち、自身のソーシャルリターンを最大化する生き方をする人。ソーシャルリターンというのは、自分は社会に良い変化をもたらせているか、ということです。
WITは、社会起業家やグローバルシチズンの皆さんと、
システムリーダーとして、共に成長していきたいと願っています。
*1: Peter Senge, Hal Hamilton, & John Kania, The Dawn of System Leadership, Stanford Social Innovation Review, Winter 2015
*2: システム・リーダーについては、チェンジ・エージェントの「「システム・リーダー」とは」もご参照ください。