NPO法人アスイク 大橋雄介様より、新年の挨拶を兼ねてメッセージを頂きました。
Photo : WiA Forum 2012 すららネット湯野川社長とNPO法人アスイク大橋さんのトークセッション
振り返ると、WiAの加藤さんと再会したのは去年の2月。
その頃の私は、震災直後に立ち上げたアスイクという組織が、これから、どのような事業を展開するべきか、大きな迷いを感じていました。
被災者の支援から子どもの貧困へ
避難所での学習支援にはじまり、仮設住宅での活動や直営学習支援センターの立ち上げへ展開し、一方で被災者へのインタビュー調査をベースにした「3・11被災地子ども白書」を刊行、その後のシンポジウム。自分の限界にぶつかりながら、それでもとにかく前へ向かって、駆け抜け続けていたのがちょうど1年前の今頃です。
白書の調査などを通して、私たちが取り組むべきことは単なる被災者支援ではなく、元から存在していた日本の貧困問題だと考えるようになりました。しかし、6人に1人もの子どもが相対的貧困にあるという巨大な問題に対して、それまでのやり方では到底太刀打ちできないという無力感に苛まされていたのです。
遠隔教育との出会いとWiA加藤との再会
そのようなときに、海外の視察を終え、帰国した加藤さんと半年ぶりに再会し、遠隔教育というなんだか得体のしれないものを吹き込まれました。(笑)
はじめは「遠隔教育」のキーワードばかりが先走っていた状態だったと思います。でも、やろうと決めると必要なものが現れるという不可思議なことは起こるもので、低学力向けeラーニングコンテンツで日本有数のベンチャー企業との提携が決まるなど、紆余曲折を経ながらも、茫漠とした事業が少しずつカタチになりはじめました。
「幸運な偶然」とオープンなパートナーシップ
その「幸運な偶然」には、WiAという組織を起点に広がる無数のネットワークが寄与していたことは、まぎれもない事実です。 (ちなみに、そのベンチャー企業の経営者は、加藤さんの旧友の元上司です) あくまで一つの側面にすぎませんが、WiAは、こういった「幸運な偶然」をうみ出していく媒介のような組織なのかもしれない、とさえ感じています。
WiAとの印象的なつながりを語る上でもう一つ触れておきたいのは、1周年記念フォーラムの翌日に開催されたWiA内部のダイアログセッション。そのダイアログでは、率直にいえば外部の人には聞かれたくないような直球が飛び交う場面もありました。しかし私は、あえてこういう場に外部の人間を参加させるWiAのスタンスに、オープンなマインドを感じずにいられなかった。
それは結果的に、私たちは単なる「支援先」ではなく、その事業活動を通して、ともにWiAという組織を築き上げている仲間であるという意識を生み出したと思います。
アスイクとWiAは制度的に別の組織ですが、オフィシャルな垣根を越えて、お互いがその成長を支え合うという関係は、先進的、本質的で、それでいて単純にワクワクさせるものがあります。
父親として。そして、これからのアスイク
最後に私事で恐縮ですが、去年の9月22日に第一子(長女)が誕生しました。公私ともに新しい生命をはぐくむ生活がはじまっています。おぼろげに気づいてきたのは、子育てでも組織運営でも似たような課題に直面しているということ。
私自身の家庭での成長が組織にいい影響を及ぼし、その逆も起こるような、成長の好サイクルを生み出していきたいと思う、小雪の舞う新年です。